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​ネーミングの基本

前回はネーミングのテクニックをご紹介しましたが、

今回はもう一歩踏み込み、僕が何を基本に考えて作るのかを解説します。

​どちらを先に読まれても結構です。

〇「具体的に」「盛らない」


商品ネーミングの場合は、できるだけ使う人に与える利便性や価値、機能から考えたほうがいいでしょう。

それが名前から伝わるように。

ポイントは「具体的に」「盛らない」

「盛らない」というのは大げさにいわないということです。

参考になるのはMUJIの商品名。

例えば

最後の1ミリまで書けるシャープペン」

​濡れタオルで簡単に落とせるクレヨン」

「足なり直角靴下」

使っている言葉は具体的です。なにが便利なのか、どんな機能の商品かがすぐわかる。

「最高の」や「究極の」など盛ってないですよね。

​足なり」は一見形容詞のようですが直角であることの理由説明にもなっています。

なにより「直角靴下」より柔らかい雰囲気に。

最高の」「可愛い」「究極の」といった言葉はこちらが思っているほど伝わりません。

実は言葉から受けるイメージが人それぞれ違うから。またぼんやりとした大枠のイメージしか持てません。

場合によっては眉唾感も出てしまう。平たくいうと信頼性に欠ける。

僕らは基本的このような形容詞を使いません。
案件によっては使うことはあります。ですがこれらを踏まえて使ういます。

MUJIはネーミングとしては文章過ぎですが、基本の考え方を示す好例なので。


 

 

MUJIの商品は店頭で手に取れますが、パッと見工夫しているポイントがわかりにくいものが多い。

なので多少文章チックでも名前で説明してしまうわけです。

説明文添えればいいじゃんと思われるかもしれませんが、ファーストタッチ(消費者が初めて商品を知ったとき)に興味を持ってもらえなければ説明は読んでもらえません。

商品タグ、POPを見たとき、ECサイトで表示されたときがもう勝負なんです。

ネーミングはまずこの前提を踏まえることが大切です。

なんのためのネーミングなのか。

どんな人がどのような状況で見るのか。

後ほどここもう少しお話します。

〇パスタのネーミングを考えてみよう。


では応用してみましょう。

想定は個人店のイタリアンにします。

大手のようにメニュー写真をいちいち撮っている予算も暇もない。

またA型看板などメニュー名のみで訴求することも想定されます。

このような場合、MUJIの手法が使える。

例えば、パスタメニューなら?

えーと・・例題どうしようかな・・・夏メニューにしよう・・

牛スジとホウレン草のパバネロペパーソース冷製パスタ」

などいかがでしょう?

スタミナと栄養価、そして辛いけど冷製のパスタ・・みたいな(笑)

ではもう一歩踏み込んで

牛スジとホウレン草をハバネロで和えた情熱の冷製パスタ」

ひとつ目は材料羅列です。が、いちおう伝わる。

ふたつ目は「和える」「情熱」など少し遊びを入れた。

 

見た人のアタマにより具体的に絵が浮かばないかなと。

いかがでしょう。

情熱」という形容詞を入れましたがメインではなくサブです。

辛い冷製パスタという商品性の後押し。パスタ店は女性客が多いでしょうし。

外食は楽しみの場でもある。なので楽しさを喚起する言葉として入れてみました

​このようなときは形容詞を使う。

情熱の冷製パスタ」だけだと見た人のアタマに絵が浮かびにくいでしょう。要するにピンときにくい。

材料なしの名前だとこうなる。

メニュー名だけで勝負しなければいけない場合、より「具体的に」してアタマに絵が浮かんだほうがいい。

ピンときてもらえるように。

メニューの場合「その人なりの美味しそう」で勝手に想像します。

​浮かんだ絵に負けないものを、ぜひ作ってください(笑)

・ ・ 

MUJIは機能性を売る商品で基本商品を手にとれる。なの工夫が伝わるように。

パスタは商品が見せられない前提なので、アタマに絵が浮かぶように。

同じ手法ですが、目的に合わせて応用はできます。

この思いつきメニュー成立するのかな?(笑)

・ ・ ・

これラーメン屋さんやカフェならどう使えるでしょう?

美容院なら?

メーカーさんの自社商品なら?

まず、売りたい商品の要素を書き出してみるといいです。

例えば、どんな材料、どんな素材、どんな手間がかかっているのか、技術を使っているのか。

お客様はどんな人か、お客さまのなにを解決するのか。どうなって欲しいのか。

例えば「白髪ぼかし」ならどうか。

「若返ってもらいたい」「気持ちも含めて」「髪が伸びてもわかりにくい」「有害な成分を使っていない」「今までより短時間でできる」「よそより安い」「男性より女性向けで」などなど。

 

もっと書き出せるでしょう。

 

そこからなにをいうかを選んでみる。

白髪ぼかしが見た目若返るものということはほとんどの人が知っています。であれば成分や時短の方がいいかもしれない。

競合のお店と違いが出せる要素があれば、もちろんそれが候補ですよね。価格以外のものがあればなおさらです。

・ ・ ・
 

MUJIのネーミングは競合他社も参考にしていると思われます。

解説しているMUJIの本もありますので参考にしてみて下さい。

基本は「具体的に」「盛らない」

・ ・ ・

○ファーストタッチ(消費者が初めて商品を知ったとき)が勝負

基本的に一般の人は自分の商品に興味はない、と思って下さい。

今しがたまで商品の存在を知らなかったわけですから、興味を持ちようがない。

説明書いておけばいいじゃん、と思われるかもしれませんが説明は読んでもらえません。

どアタマで興味を持ってもらえなければ、説明読むまで行かないということです。

なので最初に目に触れたときがもう勝負。

いうなれば一番バッターに最強打者を置かないといけないということ。

野球と違いスリーアウトでチェンジではなくワンナウトでチェンジなのです。

なのでネーミングでもこのような工夫をするわけです。

これ、チラシなどを作る場合でも同じです。

​〇そして余談(笑)

商品名で傑作といわれているのは「からまん棒」。随分前のものですが洗濯機のセールスポイントでした。

洗濯物が絡まない、ということを伝えるように作っている。単純ですよね

コピーライターの岩永憙弘さんはこのお仕事でネーミングのスペシャリストへ。

他に「Bunkamura」なども岩永さんのお仕事です。

著書もあるはずです。

講座でも岩永さんの授業ありましたが、

「基本はキャッチコピーと同じだから」

「ネーミングは長く残る仕事になるからぜひチャレンジしてみて」

とおっしゃっていたのが印象に残っています。

 

僕が以前いいなと思った商品名は、トヨタのコンパクトカー「ROOMY」

何が売りなのかすぐわかりますよね。小型車だけど部屋のように居住性が高いということ。

クルマは店頭で見てすぐ買うものではありません。大抵いくつか見比べる。

その時に候補に入っていないといけない。商品名の段階でそこまで解決できていると思います。

 

というように見ていくと、どんな人に使ってもらうのか、どういう買い方がされるのか、そのようなところを見ていくのも重要だとおわかり頂けると思います。

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