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インナー​ブランディング

実はご相談されるブランディングのお話が

​インナーについてのものが多いです。

​僕の基本の考え方と実際に行う際のポイントを。

 

1.ブランディングにインナーもなにもない。

先に結論を書いてしまいます。

僕の考えですが、ブランディングにインナーもなにもないと思っています。​なぜなら、お客様に向けてと社員に向けてで別々のことを言ってたらおかしいでしょう、ということです。

お客様にはこういってるのに、社員には「実はこうなんだ」といっていたらそれは詐欺になってしまう。社員も、え?と思うでしょう。​「本音とタテマエ」になってしまうと会社が信頼されません。お客様からも社員からも。

もちろん売り手と買い手ですから、そこでの意識の違いはあると思いますが、ブランディングのような根っこのところならなおさら、と考えています。

企業として目指しているものと、与える価値と置いているものが違ってはいけない。​

頂いたご相談は皆さん経営者様です。「社員に自分の考えを伝えたい、浸透させたい」というもの。そこでキーワード的なものが欲しい。正式なご依頼になはっていないので実際は作ってはいませんが、ディスカッションで僕が出す例は「地図に残る仕事」や「目のつけどころがシャープでしょ」の二つが多いです。

「地図に残る仕事」は大成建設。「目のつけどころがシャープでしょ」はシャープですね。シャープはCMでよく使われていたのでご存知の方も多いかと思います。これらは企業スローガンといわれるもので、社名に添えて使います。

僕がこの二つを事例としてお話するのは、実は社員の皆さんが鼓舞されたスローガンだからです。自分たちの仕事にはそういう価値があるのだとを持った。実は「目のつけどころ」は作るときにそこまで踏まえています。この二つを見てもお客様と社員とで同じこといっていますよね。

ブランディングの基礎で取り上げたエルメスもそうです。馬車のマークが入っていることで、うちの商品はそれだけの品質をお客様に与えるんだよ、と職人やショップスタッフなどの社員に伝えられる。そういう役目も持っているということです。

2.僕が作るより、皆さんの言葉で。

実際にインナーブランディングのご依頼がきた場合、現状僕が考えているのは皆さんで考えること。

僕がなにかスローガン的なものを考えるより、そのほうがいいのではないかと思っています。なぜなら、皆さん自らの言葉で、自らの意志で選んだもののほうがモチベーションが高まる、本気になれるのではないかと思うから。僕と経営者さんとで作っても、社員の皆さんには上から押しつけられた感じになるような気がしています。

 

ご相談されたのも大企業ではありません。スタートアップ期だったり中小企業様だったりです。それなら、ある程度役員さんや社員さんご参加頂いてということができないかなと考えていました。

方法としてはディスカッションでもブレーンストーミングでもいい。

ただしゃべるより、参加者それぞれのお考えを一言単位で付箋などに書いてもらい、それをまとめるやり方がいいかなと思っています。発言者がわからないのがいいんです。本音が出てくるから。もちろん僕が司会やまとめを行います。

これについては「ECサイト×ブランディング」(株式会社フラクタ著/宣伝会議社)で紹介されていまして、​実際に二度ほど試したことがあります。自分は使えると思いました。

もちろん必ずこの方法でということではないので、いろいろ試されるといいと思います。

例としてJINSのお話を。

昔JINSは経営が傾いたことがありまして、そのとき社長様と幹部社員が数日合宿でディスカッションしたそうです。そこで出てきたのが「イケてるメガネを作ろう」。そこから今皆さんがご存知のJINSになりました。それまでは単に安いメガネ店だったそうです。

「イケてるメガネを作ろう」は社外に出していません。ですが自分たちの言葉で自分たちで決めたことがおそらく大きい。それが会社を復活させる原動力となったのだと思います。

​なぜ合宿することにしたのかなどの経緯が面白いのですが、長くなるのでここでは書きません。ご興味ある方は調べてみて下さい(笑)

3.自社名を作ったときにここまで考えが至った。

正式なオーダーにもなっていないのに、なぜここまで考えたか。それは自社名を作ったときです。

このときにインナーブランディングについて思い至りました。

自社名を作るときに、なぜ営業だった自分が企画を書くようになったのか、コピーライトの勉強をしようと思ったのか。その動機からすべて棚卸しました。当時の自分の想いや経験をすべて目の前に広げていきました(そういう感覚だっただけで実際はただノートに書き出す地味な作業w)。なので完成したとき企業理念も出来ていた。この文章20~30分ですんなり書けました。それを通じて社名がブランディングの核に出来るんだと気がつきました。うちが目指す仕事の質について、また採用のとき「うちはこういう会社だよ」といえる。そこでインナーもなにもないなと思ったということなのです。

4.ブランディングは終わりのない旅になる。

ブランディングは理念が出来たら完成、ロゴマークが出来たら完成ということではなく実行していくことのほうがはるかに大切。なので今回書いたことはスタートでしかありません。

僕も自社理念をかかげていますが、それを伝えていったり実践しいくのは結構大変。理念通りできなかった仕事、ご期待に沿えなかった仕事あります。​社名を決めたとき自分の旗が立った!と思いましたが、旗を掲げて航海していくことが大変なのだと気づいた。

インナーでいえば社内に浸透させるまでも時間はかかると思います。ですが僕自身が考えがぶれたとき立ち戻る基準にはなりました。その点でもご相談された理由がわかりましたし大企業だけがやるものではないと思います。

この辺は「ビジョナリーカンパニー(ジム・コリンズ ジェリー・ポラス/日経BP出版センター)」も参考になると思います。これはブランディングの本ではありませんが、ブランディングについての本と合わせて読まれるとよくお判りになるのではないかと思います。

マネックス証券の社長、松本大さんが企業運営について「北極ではなく、北極星を目指せ」とおっしゃっていたのですが、僕はブランディングもそういうものだと思っています。

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